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考えとつき合う · 心と気分

考えは、気持ちにどう影響するのか

たいていの場合、状況がそのまま気持ちを引き起こしているように感じます。けれど、そのあいだには静かなひと段階があり、それが見えるようになると、立つ場所が手に入ります。考えと気持ちのつながりが実際にどう働くのか、そしてそれをどう使えばいいのかをお伝えします。

テーブルでノートに書きものをする人

Photo by Daria Glakteeva on Unsplash

ちょっとしたヒント

  • 心配ごとを、言葉そのままに書きとめましょう。
  • 両側の証拠を、天秤にかけてみましょう。
  • 友だちに話すように、自分に話しかけましょう。

友だちが廊下であなたの横を通りすぎ、あいさつをしませんでした。次の半秒のうちに、あなたが意識して何かを決めるより先に、心はひとつの物語を語ります。「私に怒ってるんだ」かもしれない。「気づかなかっただけ」かもしれない。「やっぱり、ここでは誰も本当は私を好きじゃない」かもしれない。あなたはその物語を選びません。ただ、やってくる。そして、どれがやってきたかが、この先十分間のあなたの気持ちを決めるのです。

それが、ひとつのありふれた瞬間に込められた、考え方のすべてです。廊下があなたの気分を引き起こしたように感じます。でも、ぴったりとはそうではありません。廊下についてあなたが抱いた考えが、引き起こしたのです。

これは前向き思考についての、気持ちのいいスローガンではありません。メンタルヘルスで最もよく研究された方法のひとつ、認知行動療法の土台であり、その背後にあるモデルは、退屈なくらい実用的です。状況をどう解釈するかが、それについてどう感じるか、次に何をするかを形づくる。同じ廊下、三つの違う考え、まるで違う三つの午後。

ふだんは見えない、すき間

私たちは、人生をまっすぐな一本の線として経験しがちです。何かが起き、それについてある気持ちになる。原因、結果、おしまい。

その線の下に、私たちが飛ばしてしまうひと段階があります。出来事と気持ちのあいだで、心はたった今起きたことについて、とっさの解釈をします。1960年代に認知療法を築いた精神科医アーロン・ベックは、患者たちが、あらゆることの下で静かに流れつづける、こうした解釈の絶え間ない流れを持っていることに気づきました。彼はそれを「自動思考」と呼びました。まさにそのとおりのものだからです。速く、頼んでもいないのにやってきて、あまりに見慣れているので、ただの事実とまちがえてしまう。

やっかいなのは、こうした瞬間の読み取りが、しばしばまちがっているか、少なくとも傾いていることです。廊下のあなたの友だちは、本当にただ遅刻していて、上の空だっただけかもしれません。けれどあなたの自動思考が「誰も私を好きじゃない」だったなら、からだは事実ではなく、その考えに反応します。あなたは、まるで本物のように拒絶を感じます。神経系にとっては、それは本物だからです。

ここにある希望に気づいてください。出来事を変えられることは、めったにありません。気持ちを力ずくで言いくるめることも、たいていできません。けれど、その真ん中にある解釈は、あなたが実際に手をかけられるものなのです。

ループが自分自身へ向かうとき

考え、気持ち、行動は、きれいに一列に並んではいません。おたがいを養い合います。NHSは、これがどうやって循環へと締まっていくかを説明しています。落ちこんだ気分が暗い考えを引き出し、その考えが気分を深め、重くなった気分が予定をキャンセルさせ内へこもらせ、内へこもることが「本当に物事は暗いんだ」という新たな証拠をあたえる。そうしてぐるぐる回るのです。

うつも不安も、どちらもこうしたループで動いています。不安では、「何かおかしい」という考えがからだを速め、レースのようなからだが「本当に何かおかしい」証拠のように感じられ、こわさが登っていきます。落ちこんだ気分では、その考えはたいてい「やる意味あるの」のたぐいで、やらないほどに、それがいよいよ本当らしく見えてきます。

ループは、悪い知らせであると同時に、よい知らせです。悪いのは、外の世界の助けなしに、自分で自分を保ててしまうから。よいのは、円のどこからでも割って入れるから。考えを変えるか、行動を変えるか、すればループ全体がゆるみます。

考えがゆがむ、よくあるかたち

心がストレスを受けたり落ちこんだりしているとき、それはでたらめにゆがむのではありません。いくつかの見覚えのある形にゆがみます。研究者はこれを「認知のゆがみ」と呼び、それを見抜けるようになることが、仕事の半分です。考えは、それが演じている手品に名前をつけられた瞬間に、その握る力の多くを失うからです。よくあるものをいくつか。

  • 全か無か。 ひとつのまちがいが、全体を台なしにしたことになり、ひとつの欠点が、自分は失敗作だということになる。中間はなく、完全な成功か完全な大惨事だけ。
  • 読心。 相手が自分をどう思っているか、たいていは最悪の版を、実際の証拠もなしに分かったつもりになる。返事のないメッセージが「もう私とは終わりだ」になる。
  • 破滅化。 ありうる最悪の結末へ一気に走り、そこに住みつく。ひとつの咳が重い病に、ひとつの気まずい会議が「私は仕事を失う」になる。
  • 良いことの値引き。 ほめ言葉は数に入らず、勝ちは運やまぐれ、失敗だけが本当の自分として記録される。
  • 感情的決めつけ。 気持ちを事実としてあつかう。「自分はにせ者みたいに感じる、だからきっとにせ者だ」。「希望がないと感じる、だから物事は希望がないにちがいない」。

このすべてを持っているわけではないでしょう。たいていの人は、とくにプレッシャーのもとでくり返し現れる、二つか三つの「お気に入り」を持っています。自分のものが分かると、現行犯で取りおさえられるようになります。

考えに従うのではなく、考えとつき合う

ここでの目標は、無理に幸せな考えをさせることではありません。本物の心配の上に陽気なスローガンを貼りつけても効かないし、あなたのどこかが、それが嘘だと知っています。助けになるのは、もっとやさしく、もっと正直なやり方です。一歩下がって、その考えをながめ、それが本当に真実なのか、それともただ声が大きいだけなのかを問うのです。

次に考えがあなたをこわばらせたときに通り抜ける、シンプルな道を。

  1. 考えをつかまえて、書きとめる。頭の中の言葉そのままを、紙やスマホのメモに出します。「あのプレゼンを完全に台なしにした」。ただの文字で見るだけで、もう熱がいくらか引きます。
  2. 気持ちと、その強さに名前をつける。「恥ずかしい、10のうち8くらい」。これで気持ちと考えが切り離され、気持ちと言い争わずに考えに取り組めます。
  3. 両方の証拠をさがす。この考えを実際に支えるものは何か。それに反するものは何か。よく応えてくれた人はいなかったか。友だちにはけっして課さない基準を、自分に課していないか。
  4. もっと公平な版を書く。もっと明るい版ではなく、もっと真実の版を。「スライド二枚でつまずいたけど、あとは大丈夫だった。みんないい質問をしてくれた、ということは、ついてきてくれていた」。試金石は、それで元気が出るかどうかではありません。信頼する誰かに声に出して言って、もちこたえるかどうかです。
  5. もう一度、気持ちを確かめる。たいてい、ひと目盛りかふた目盛りやわらいでいます。それが勝ちです。ゼロを目指すのではありません。正確さを目指すのです。

これを何十回かやると、何かが移り変わります。もっと公平な考えが、ひとりでに、より速くやってくるようになり、やがてある日、それが自動の考えになります。これは、どんな技術も身につく、あのありふれたくり返しです。NHSは、まさにこの種の捉え直しを順を追って案内する、無料のセルフヘルプ・ガイドを公開していて、ひとりで始めるのによい場所です。

いくつかの正直な限界

この方法は強力で、そしてすべてではありません。ゆがみなどではない気持ちもあります。悲しみ、本当に安全でない状況での本物のこわさ、実際に起きた喪失の痛み。そこには直すべき考えはありません。考えが正確だからです。そのときの仕事は、それを感じ、その中で支えてもらうことであって、捉え直してなくすことではありません。

捉え直しは、気分が重いときには、ひとりでやるのがとても難しくなります。うつの深みにいるとき、暗い考えは考えのようには感じられません。床のように感じられます。試してきたのにループがゆるまないなら、それは意志の力の問題でも、やり方をまちがえたしるしでもありません。これがワークシートより大きいというしるしであり、あなたは、いっしょにいてくれる生身の人に値するのです。

落ちこんだ考えや不安な考えが何週間も続いているなら、眠りや仕事、人との関係を引き下げているなら、あるいは「希望がない」とか「まわりの人は自分がいないほうがいい」という感覚へ向かうなら、医師やセラピストに連絡してください。訓練を受けた人は、この考える作業をいっしょにしてくれて、セルフヘルプの手順がけっしてくれない支えを差し出せます。助けを求めることは、最後の手段ではありません。効く手順のひとつなのです。

このすべての下にある、静かな約束を、手放さずにいてください。招かれずにやってくる考えは、判決ではありません。下書きです。そして下書きは、書き直せるのです。

参考文献

読み終える前に、ケアについて一言

KEEP CALM は、無料の教育的なセルフヘルプツールを提供しています。これは医療上の助言、診断、治療ではなく、専門的なケアの代わりになるものではありません。ここで読んだことが、日々のストレス以上のものとして心に響いたなら、専門家に相談することは強く、そして賢明な一歩です。

If you are in crisis or thinking about harming yourself, you are not alone. In the US, call or text 988 (Suicide & Crisis Lifeline, 24/7), text HOME to 741741 (Crisis Text Line), or call 911 in an emergency.